これは私が金融業界で一番印象に残ってる話。
2020年に東京でオリンピックが開催される事が決まってますが、その対応が色んな業界に影響を及ぼしています。
クレジットカード業界では、経済産業省がICカード推進を計り、日本クレジット協会が2020年4月までに、100%のICカード化を目指すと発表しました。
理由はオリンピックの影響で、海外からの渡航者が増えた際に、セキュリティーのしっかりしたカードで対応しないと「おもてなし」の精神を疑われる。
経済大国・技術大国の日本が、他の国々から大きく出遅れてる(ヨーロッパではICカードしか使えないところもあるとか)と判断したから。
この地点でのICカード普及率は確か、15%くらいだったと思います。
銀行のキャッシュカードではICカードがそこそこ普及していましたが、クレジットカードでは、まだ馴染みがない状態でした。
当時、クレジットカードのIC化はいくつか問題があったため、難しいとされていました。
例えば、ICカードでの決済に使われる端末のインフラ。
海外利用時の(JCBやVISA、MASTERなど)規格の違い。
ICチップの有効期限。
などなど問題は山済み…。
そのなかには、おそらく解決しないだろうと思われるものもありました。(今はどうなってるのかな)
そこで、今回はICカードについて触れたいと思います。
ICカードって何が違うの?
今までのクレジットカードは、磁気ストライプがカードの上の部分に入っており、その磁気ストライプのなかに様々な情報が入っています。
その情報は誰でも簡単に通信ができるもので、スキミングの被害に遭いやすいものでした。
そのため大掛かりな窃盗団などは、とても小さな専用の機械を持っており、一瞬でカードの情報を読み取り、簡単にカードを複製することができていたのです。
ICカードの場合は、ICチップの中に情報が入ってるわけですが、磁気ストライプに比べて、その情報量がはるかに多くなってます。
その多く情報量のおかげで、端末とカードの通信はすべて暗号化されるようになりました。
さらに、まず最初に、暗証番号を入力し、確認が取れてからでないと、なかの情報を読み取ることが出来ないようになってます。
これにより、セキュリティーレベルが格段に上がりました。
現状
実際問題、日本中のお店にICチップ対応の端末を置くのはさすがに難しく、特に地方にいくと、ICチップ対応端末の方が珍しいのでないでしょうか。
なので、現状はICチップと磁気ストライプと両方ついてるカードがほとんどです。
しかも暗証番号を忘れたという人や、店頭で暗証番号を打ち込むのに抵抗がある人などもいるため、意外と今現在も、磁気の方が使われているのではないかと思います。
せっかくセキュリティーを強化したのに、これじゃ意味がないですね。
さらに、ICチップはコスト面でもカード会社をかなり圧迫しています。
実は、カード会社が今までICカードに踏み切れなかったのは、費用面で採算が取れないからです。
ICチップはかなり高額な為、大手ならまだしも、中小企業は今までのように乱発すると、相当厳しいものになると思います。
実は私が以前の会社を見限った理由もここにあります。
カード会社は、カードを利用してもらって手数料が発生して、初めて収益が出るので、その入口になるカードは使わなくても、持っていてほしいもの。
いわば自社カードは乱発したいのですが、費用がかさむだけの睡眠カードは何らかの対応が急務になると思います。
今後の展望
経済産業省が2020年までに~と発表した以上、「やっぱ、止める~」とはならないでしょう。
すでに東京オリンピックの開催は決まってるので、ICカード化100%は、政府の面子にかけて徹底させると思います。
海外からの渡航者も確実に増えるので、特に東京近辺(オリンピックの開催場所)ではインフラ整備も徹底されることでしょう。
そうなるとカード会社は今以上に財政が圧迫されて、まず、過激な営業がされるようになると思います。
そしてその後は、カード事業から撤退が相次ぐでしょう。
なんだか予言めいた事を言ってますが、これは私が実際の現場で感じたこと。
特に大手なんかクレ一途会社を買い取ったところなんて採算が取れないと判断したらすぐに撤退すると思います。
利用する側はその分、サービスが充実するのでいいんですけどね。